歯科ブログ
重要 !!「抗血栓薬」と「ビスフォスフォネート系薬剤」
今月1月号の「日本歯科医師会雑誌」に『「抗血栓療法患者の抜歯に関するガイドライン2015年改訂版」の概要』という記事が掲載され、歯科医師会会員に改めて注意が喚起されました。
これらの事項は当然私たち医療従事者は常に熟知しておくべき事ですが、この機会に患者さんにも、どういった内容のものかを知っていただく事も大切かな、と思います。
私たち歯科医師は、皆さんにとっては日常の当たり前の治療だと思われている行為に対しても多くの注意を必要としている事は言うまでもありませんが、今回は「抗血栓薬」と「ビスフォスフォネート系薬剤」について、ちょっと頭の片隅に覚えておいてください。
近い将来に、これらの薬剤を使う治療を受ける可能性のある方は、その前に主治医の先生と歯科医師にご相談ください。
まず「抗血栓薬」は主に脳梗塞や心筋梗塞などの原因となる血栓の形成予防に処方されていますね。
以下、正確を期すために記事の画像を多用しますが、決して面倒なためではありませんのでご了承ください。
先に結論から言いますと、要点を理解している歯科医師が行う抜歯など出血を伴う観血処置については問題ありません。それに加え当院などのようにワルファリンを服用されている患者さんのモニタリングのために「INRatio」万一の時の強制止血のためのレーザーを常備している歯科医院は、どうぞご安心ください 🙂
さて、もう一方の「ビスフォスフォネート系薬剤」ですが、こちらは少し面倒です。
まず基本的に抜歯のための服用停止はガイドラインで止められています。歯の治療のために大腿骨骨折し、寝たきりになってしまわれる事もあり得ることで、そうなればQOL(クオリティーオブライフ)はどうなのか?という問題が提起されていました。
以前は1錠、1回でも服用されたら3〜6か月の服用停止を経て抜歯しても良い、という時もあったようですが、今は禁忌です。また、いわゆる歯槽のう漏で歯が自然脱落した場合も、最悪骨炎を起こし顎の骨が露出したままで治らないという症例もあります。
「ビスフォスフォネート系薬剤」は主に「骨粗鬆症」の治療薬ですので、骨密度の低い方で薬剤による治療の可能性のある方は、必ずその治療開始前に歯の治療は完了しておいてください! これは歯医者からの切実なお願いです、、、いざ「ビスフォスフォネート系薬剤」の服用治療が始まってからご来院されても、最適な治療ができない、という場合もあるんです。
また、「ビスフォスフォネート系薬剤」は、「乳がん」、「前立腺がん」の術前術後、「骨ページェット病」、脊髄損傷後や股関節形成術後にも用いられますので、骨密度は自信がある!、という男性の方も、ぜひ上記の薬剤表をチャックしてください。
今日は久しぶりに歯科医師らしい更新ができ、ホッとしてます(笑