歯科ブログ
「歯をみがいてはいけない」!、、、ん!?
おはようございます、大阪本町の八木歯科医院です。
9月最初のブログは、京都で歯科医院を開業されておられる森昭先生が講談社+α新書から8月16日に出版された「歯をみがいてはいけない」、、、??からのご紹介です。
ちょっとショッキングなタイトルの本ですが、私のような一般開業医はもちろん、一般の方々にも解りやすく、納得のいく素晴らしい内容となっています。
本書の「はじめに」の冒頭にも書かれていますが、現在100万人以上の寝たきりの患者さんを抱えている日本と、ほとんど寝たきりの人がいないスウェーデン。
日本では80歳の残存歯が10本以下なのに対し、80歳で21本以上残っているスウェーデン(歯は親知らずを含めて32本あります)。この2つの国の比較を中心に、森先生は日本が大量の寝たきり患者さんを生み出している原因は「歯」だと考察され、今後我が国が、そして個々人がこの問題を解消していくための方策を、大胆的確に提言されているのが本書です。
私は最も効果的な歯磨き方法を患者さんに示したくて、いろいろと書物、論文、専門雑誌をあたり、ついにこの本に出会いました。
というのも、私は歯科医師として、歯周ポケットの入り口の歯垢を効果的に取ることを歯磨きの第一と思って、歯と歯ぐきの境目に毛先が斜め45度の当たるようにブラッシングしてくださいね!、、、などという事は言いますが、それでは具体的に、いつ、どのタイミングで歯磨きをすればいいのか?、という事は断言できませんでした。
今回、それを本書で偶然発見できましたので、ぜひご紹介したいと思います!
もちろん本書は先述のように、もっと深くて大切なテーマをどなたにも分かり易く書いておられます。ぜひ手にとって、全体を読まれることを重ねてお勧めします。
さて、これから紹介する歯磨き方法は、皆さんに今日からでもぜひ実行していただきたい方法です!
その前に2つのポイントを覚えてください。
まず、最強、最良、そして「無料」の歯磨き剤「唾液」を最大限活用しましょう!!そして、この「唾液」にちゃんと仕事をさせないと、お口の中の虫歯、歯周病以外にも、全身的な病気を引き起こすことになる事。
次に、その「唾液」が最大限に分泌される時は各食事後! 逆にその「唾液」がほとんど分泌しないのが就寝中、寝ている間です。この2つのポイントを意識して本書の著者である森先生ご自身の毎日の「歯磨き」パターンを見ていきましょう。
まず起床後朝食前に「デンタルフロス」+「音波歯ブラシ」、朝食後と昼食後も「デンタルフロス」+「舌回し」だけ。そして就寝直前に「デンタルフロス」+「音波歯ブラシ」。そして、3〜4ヶ月に1回、クリニックでメンテナンス。各用語は後述します。
さて解説していきましょう。各食事後は、多く分泌される唾液の殺菌、抗菌作用を最大限に活用するために、「デンタルフロス」で歯と歯の間の食べかすを取り、唾液が口全体に行き渡るように「唾液の通り道」を作ります。そして「舌回し」で「唾液」の分泌をより促進させます!
寝ている間は「唾液」の分泌も少なく歯周病菌やその他の細菌も爆発的に繁殖します。それを最小限に食い止めるために就寝直前に「デンタルフロス」と「音波歯ブラシ」でお口の中の汚れを、できるだけ取っておきます。
起床直後は、それでも口の中は最近だらけ、著者の言葉によれば、うんこ10gの量にもなるそうです! 起床直後に水分を飲むなどバイ菌を胃に流し込むようなもので、もってのほかです! 朝食前に「デンタルフロス」と「音波歯ブラシ」で綺麗に除去しましょう!
食後に単なる「歯の食べかすとり歯磨き」と「意味のない歯磨き剤」で貴重な「唾液」を吐き出してはダメです!
以上が、著者の森先生ご自身の、また私に取っても自信を持って患者さんにお勧めできる毎日に「歯磨き」スケジュールです。
詳しくは森先生の本をお読みください。口の中の状態と全身の病気の関連性も分かりやすく書かれています。
ここでは、その入り口だけを要約しましたが、是非今日の昼食後からでも実行し、ご自身で、ご自身健康を維持されることを願っています。
以下、幾つか「用語」の解説です。
① 「舌回し」 『口を閉じて舌を歯茎と唇の間に置き、家具気に沿ってぐるぐる回します。まず舌先を右上の一番奥の歯茎と頬の間に置きます。歯の外側をなぞるように、右上奥から順番に右下奥へと舌を移動させます。左下奥から右下奥に舌を移動させて舌を回します。これを10回行います。反対回しも10回行います』
② 「デンタルフロス」 当医院のブログでも以前に「フロス」を使うことで細菌の除去が数倍効率的にできることをお話ししました。
③ 「音波歯ブラシ」 「電動歯ブラシ」には文字どおり電気モーターで1分間に5000回くらい振動する「電動歯ブラシ」。1分間に3万〜4万回くらい振動する「音波歯ブラシ」。振動数がそれ以上の「超音波歯ブラシ」の3種類があります。
森先生は具体的に「フィリップス社」から販売されている「ソニケア」シリーズを勧められています。私の推測ですが、「フィリップス社」の持つ特許の「音波水流」を発生させる機能がついた機種は、「音波歯ブラシ」の実際に動いている毛先から2mm離れている所のプラークや汚れでも綺麗に除去できるためだと思います。実際、この機能はすごく有効だし気持ちのいいものです 🙂
しかしこの重要な「音波水流」装置は「歯科医院専売」製品にしか付いていません。一般の家電量販店では高価な最上機種にしか搭載されていないという事です。
「歯磨き」には「歯の食べかすとり歯磨き」と、本来の「プラークコントロール」のための2つがあります。皆さんは、ぜひ本来の「プラークコントロール」のための「歯磨き」を意識してください!
最後となりましたが、出版直後の大切な著書から要約させていただいた事と、このような素晴らしい本を書かれた森昭先生に感謝いたします。ありがとうございました。
たかが「歯磨き」されど「歯磨き」、、、さぁ、今日から治療のためではなく、予防のためにも歯科医院においでください。大歓迎です!;)