歯科ブログ
「歯周病」を治すと「糖尿病」が良くなる!? 「動脈硬化」
おはようございます、八木歯科医院です。
前回、前々回と「歯周病」と「糖尿病」を軸に最新の情報をお伝えしました。
今回は金崎伸幸先生の「歯周病専門医が教える糖尿病がよくなるとっておきの方法」を中心に要点をご紹介したいと思います。
さて、日本人の3大死因は「悪性新生物」、「心疾患」、「脳血管疾患」ですが、2番目と3番目の心臓あるいは脳周辺の疾患の多くに動脈硬化が大きく関係しています。そしてその動脈硬化が歯周病によって引き起こされていることが解明されてきました。
歯周病菌はお口の中にあっては、歯の表面や、歯と歯茎の間の特に深くなった歯周ポケット内にネバネバしたプラークを形成し、歯周病をより悪化させていますが、同時に場合によっては血管内に入り込み、冠状動脈などいろいろなところで「アテローム性動脈硬化」を起こす原因となっています。
「アテローム性動脈硬化」は簡単に言えば血管内壁にコレステロールなどでできたどろどろの粥状物質(これをアテロームと言います)が溜まり、血液の流れを悪くする事です。
この「アテローム」の形成の一部を、血管内に侵入した歯周病菌が起こしています。
このドロドロの粥状物質は溜まってくると昆布のように血管内部に出っ張ってきますが、この出っ張りは、お口の中の歯垢と同様に「プラーク」と呼ばれています。歯周病菌はお口の中でも、全身の血管内にも「プラーク」を作っているのですね!
「アテローム」の出っ張りで狭くなった血管では血流が悪くなり、ひどくなると血栓が作られたり、また流れてきた血栓が詰まり、先述の心疾患、、、心筋梗塞、脳血管疾患、、、脳卒中、脳出血、脳梗塞が引き起こされます。
また、本来は無菌状態であるはずの血管内に歯周病菌が侵入した状態を「菌血症」と言いますが、これが感染性心内膜炎の大きな原因となります。心臓弁の手術をされたことのある方は特に注意が必要です。抜歯に限らず、歯の治療に際しては、その旨を歯科医にも一言お伝えください。
一般にビフィブス菌など腸内細菌の存在は有名ですが、お口の中にも正常な状態で300〜700種の常在菌がいます。
その中で、「悪玉」の歯周病菌は主に5種類です。
Pg菌、Td菌、Tf菌、P、Aa菌です。
これら「悪玉」歯周病菌は、その他の菌が作る歯の表面の「バイオフィルム」内、および4mm以上の深さがあり酸素の届きにくい歯周ポケット内で増殖しています。
皆さんも、私たち歯科医師も、この事を念頭に日々のメンテナンスをすることが大切になります。
最後に、そのメンテナンスの要点です。
⒈ 「ながら」歯磨きは大いに結構!:) テレビを見ながら、お風呂につかりながら、5分以上時間をか けて、丁寧に1本1本の歯を磨きましょう!
⒉ 「フロス」を積極的に使ってみましょう! 私個人的には毎日でなくても良いと思います。週に2〜 3回は、歯ブラシの後に「フロス」で歯の間を掃除しましょう。歯ブラシだけでのプラーク除去率 は58%ですが、「フロス」を併用すると86%になります!
⒊ 「歯ブラシ」を意識して選びましょう! はじめは歯医者さんで、どんな歯ブラシが自分に合ってい るのか? 遠慮なくお尋ねください。可能であれば最初の1本を歯医者さんで買っていただき、以 後の参考にする事も良いと思います。
⒋ 食事の時は何回もよく噛んで食べましょう! 噛む事は脳を活性化させたり、噛む事ではの表面の 汚れが自動的に取れる、などメリットがたくさんあります。
⒌ 歯科医院でのメンテナンスは「3か月に1回」を目標にしましょう! 先述した「バイオフィル ム」や深い歯周ポケット内で「悪玉」歯周病菌が毒素を出し始めるのが役3か月です。そのタイミ ングで「悪玉」歯周病菌を除去しましょう。
⒍ 唾液がよく出るようにしてください。先述した「よく噛んで食べる」も唾液の分泌量が増えます。 唾液には強い抗菌作用があるので、たくさん分泌されて、そのことで「悪玉」歯周病菌を少しでも 減らしましょう。寝る前に「キシリトール100%」のガムを軽く噛むのもいいでしょう 🙂
以上、参考になったところはあったでしょうか?
歯科医院は虫歯の治療や、入れ歯を作るだけのところではありません。痛い歯がなくても、また、歯石を取るのもちょっと痛いですが、1つは歯周病治療を通して、全身のコンディションも良くしていきましょう!!