歯科ブログ
「歯周病治療」の現状
おはようございます、八木歯科医院です。
今日から気温も上がるようで、やっと春本番かとホッとしておられる方も多いと思います :) まさかまた寒くなるなんてことないでしょうね!
さて、昨夜は製薬会社のファイザーのインターネットシンポジウムがありました。時間は指定されていますが、ネット環境があるところであれば自宅でもどこでも受講できるのは便利ですね。
昨夜のテーマは「感染症としての歯周病治療 〜薬を有効に使うためには〜 」。
現在歯周病治療には
① 機械的プラークコントロール
ご自宅で皆さんでしていただく歯磨きなどのセルフコントロールと、歯科医院でのプロフェッショナルプラークコントロール(PMTCやPTCなどと呼ばれています)があります。
② 化学的プラークコントロール
薬局で買う歯磨剤から、歯科医院で処方される抗菌剤などがあります。
、があり最近はこの2つをそれぞれの患者さんに合わせ、組み合わせて治療を進めています。
この2つの中で、昨夜は化学的プラークコントロールの特に抗菌剤についてのセミナーでした。
お口の中には約800種類の細菌がありますが、歯周病原細菌は主に「グラム陰性嫌気性稈菌群」という種類の細菌で占められています。これらの細菌を無くせば歯周病を防ぐことができるのですが、そうはうまくいきません(汗 極端に言えば、お口の中を無菌状態にすれば良い、となりますが、そんなことは当然不可能で、マイナス面を考えると恐ろしいことになります。
そこで私たちは、歯周ポケット内の総菌数に占める歯周病原菌の割合を低く維持する事に主眼を置いています。
また、薬剤でけでも、歯科医院でのSRP(スケーリング ルートプレーニングの略です)と呼ばれるプロフェッショナルプラークコントロールだけでも、それは不可能な事が分かってきました。そこでこの2つを有効に組み合わせます。
1995年にアメリカでFull Mouth Disinfection(FMD)という手法の有効性が証明されました。これは極めて短期間(1日!)で、薬物療法と機械的プラークコントロール(SRP)のコンビネーションを徹底的に行い口腔内から歯周病原細菌を除去する方法です。
これを日本の私たち一般開業医向けに改良されたものが、アジスロマイシンという薬剤を服用していただきながら、短期間(2〜3回)で機械的プラークコントロールを局所麻酔下で行う、というものです。
アジスロマイシンは商品名「ジスロマック」。
内科でもよく使われていますのでご存知の方もおられると思います。
歯科においては、歯周病関連細菌に対して十分な抗菌力を持っている、ターゲット局所に対して効率よく有効濃度が得られる、作用時間が長い、などの優れた作用があります。
反面、下痢になりやすい、という副作用もあり要注意ですが、2〜3日と短い場合が多いようです。
私たち臨床医は安全が確認された治療から行っていきますが、ご理解のほどをよろしくお願いいたします。